見渡せば花も紅葉もなかりけり‥藤原定家

見渡せば花も紅葉もなかりけり‥藤原定家

三夕の和歌と呼ばれるものがあります。新古今集所収の「秋の夕暮れ」を結びとした3首の名歌を指します。その中で、一番のお気に入りが、藤原定家(ふじわらのていか)の一首です。

見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ


この和歌の意味ですが‥、あたりを見渡してみると、美しく咲く花も紅葉も見たらないなあ。 浦の浜辺の苫屋(粗末な漁師の小屋)だけがさびしく建っている、なんともわびしい秋の夕暮れであることよ。秋の夕景のなかにただ一人たたずむ作者の孤独感、寂寥感が伝わってきます。

藤原定家[1162~1241]は、鎌倉初期の歌人。名は「さだいえ」とも。俊成の子。父のあとを継いで有心 (うしん) 体の象徴的歌風を確立し、歌壇の指導者として活躍。「新古今和歌集」の撰者の一人。のち「新勅撰和歌集」を撰し、「源氏物語」などの古典の校訂・研究者としてもすぐれた業績を残しました。

「秋の夕暮れ」を結びとした三夕の和歌‥定家、寂蓮、西行

新古今集所収の「秋の夕暮れ」を結びとした三夕の和歌(寂蓮(じゃくれん)、西行、定家)は、‥

「さびしさはその色としもなかりけり 槙 まき 立つ山の秋の夕暮れ」寂蓮
「心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ」西行
「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の 苫屋 とまや の秋の夕暮れ」定家



出猩々(でしょうじょう)もみじは、新芽の時は真っ赤な葉で、春がすぎ、夏ごろになると一度、緑っぽく色が変り、紅葉の時期になるとまた赤くなる、もみじの中でも特に人気が高い品種です。冬の寒樹(落葉後)の姿も雑木林の静寂な様子を感じることができます。

秋の季語一覧

秋の季語一覧 時候

– 秋 – 初秋 – 八月 – 文月 -長月-霜月- 立秋 – 残暑 – 秋めく – 新涼 – 処暑 – 八月尽 – 二百十日 – 仲秋 – 九月 – 葉月 – 八朔 – 白露 – 秋分 – 秋彼岸 – 秋の社日 – 龍淵に潜む – 水始めて涸る – 晩秋 – 十月 – 長月 – 律の調べ – 寒露 – 雀蛤となる – 秋の日 – 秋の朝 – 秋の昼 – 秋の暮 – 秋の宵 – 秋の夜 – 夜長 – 秋麗 – 秋澄む – 秋気 – 爽やか – 冷やか – 身に入む – 秋寒 – そぞろ寒 – やや寒 – うそ寒 – 肌寒 – 朝寒 – 夜寒 – かりがね寒し – 霜降 – 豺獣を祭る – 冷まじ – 秋寂ぶ – 秋深し – 暮の秋 – 行く秋 – 秋惜む – 冬隣 – 九月尽 -天高し

秋の季語一覧 植物

– 紅葉 – 落葉 – 彼岸花 – 藤袴 – 桔梗 – ダリア – 萩 – 女郎花 – 芒 – コスモス – 鶏頭 – 金木犀 – 菊 – 竜胆 – 背高泡立草 – 芋 – 瓜 – 糸瓜 – 撫子 – 葛の花 – 朝顔

 

きくもみぢ水屋はぢけて流るめり 其角

宝井其角(たからい きかく)

[1661〜1707]江戸前期の俳人。蕉門十哲の一人。江戸の人。初め、母方の姓榎本を名のった。別号、宝晋斎・晋子など。「虚栗(みなしぐり)」「枯尾華」を編集し、蕉風の発展に尽力。芭蕉没後は洒落ふうに傾き、江戸座を興した。句集「五元集」、句文集「類柑子」など。

行く秋を奇麗にそめし紅葉哉 子規

正岡子規(まさおか しき)

[1867〜1902]俳人・歌人。愛媛の生まれ。本名、常規(つねのり)。別号、獺祭書屋(だっさいしょおく)主人・竹の里人。俳句革新に着手し、俳誌「ホトトギス」により活動。また、「歌よみに与ふる書」で和歌改革を主張。写生文も提唱した。門下に高浜虚子・伊藤左千夫などを輩出。句集「寒山落木」、歌集「竹の里歌」、俳論「俳諧大要」など。→日本派 →根岸短歌会
[補説] 忌日となる9月19日は、子規忌のほか獺祭忌(だっさいき)、糸瓜忌(へちまき)ともいう。

 

まとめと関連情報

三夕の和歌と呼ばれるものがあります。新古今集所収の「秋の夕暮れ」を結びとした3首の名歌を指します。その中で、一番のお気に入りが、藤原定家(ふじわらのていか)の一首です。


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紅葉(もみじ)♪歌詞
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