「いく」と「ゆく」の使い方の違いとは‥

「いく」と「ゆく」の使い方の違いとは‥

みなさんは迷ったことはありませんか? たとえば、文章を書くときに、「今後はこのようにあやっていく」と書くか、「今後はこのようにやってゆく」。そう、「いく」と書くか、「ゆく」と書くべきか、使い方・使い分けの違いについてです。以前から気になっていたので、今回、調べてみました。

「いく」と「ゆく」‥どちらも間違いではない

結論からいうと、「いく」、「ゆく」、どちらを使っても間違いではないことがわかりました。いろいろ調べる中で、明治以降では、国定読本が「いく」の方を基準としましたが、両方とも正しい使い方であり、口語と文語の違い、あるいは現代語と文語の違いなどと説明されることが多いということがわかりました。

「いく」は口語的・日常的な文脈、「ゆく」は詩的な文脈で‥

つまり、「いく」は口語的・日常的な文脈で、「ゆく」は詩的な文脈で使われています。文語体が好まれる詩(詞)や小説には、はっきりと「ゆ」と書かれる傾向が見られます。

「街道をゆく」「竜馬がゆく」司馬遼太郎
「君を迎えにゆくよ」吉田拓郎
「今夜君を迎えにゆくよ」ゆず
「翼を広げ 飛んでゆきたい」赤い鳥

個人的には、以下のNHK文化研究所の解説が一番、わかりやすかったと思います。

歴史的にみても、「ゆく」「いく」ともに万葉集にすでに用例がみられ、古くからの語ですが、どちらかと言うと、かつては「ゆく」のほうが標準的な言い方と見られていたようです。例えば、「行きずり」「行きつ戻りつ」「行方」「行く末」「行く手」「行く年」など、やや古風な言い回しの成句は、今でも「ゆき」「ゆく」としか言いません。ただし、現在だけに限れば、「いく」のほうが明らかに一般的です。「学校に行く」の場合、ほとんどの人は「いく」と言うのではないでしょうか。
出典:NHK放送文化研究所

 

行く春や 鳥啼き魚の 目は泪 松尾芭蕉

せっかくなので、「ゆく」の使い方の例として、旅日記「おくのほそ道」に収録されている松尾芭蕉の句を取り上げます。

行く春や 鳥啼き魚の 目は泪

(読み方:ゆくはるや とりなきうおの めはなみだ)

 

そして、もう一句‥

行く春や大根の花も菜の花も 政岡子規

 

まとめと関連情報


「いく」と「ゆく」の使い方の違いとは‥

 

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