芍薬(しゃくやく)と牡丹(ぼたん)の違い・見分け方‥

芍薬(しゃくやく)と牡丹(ぼたん)の違い・見分け方‥

芍薬も牡丹もボタン科ボタン属であるが、芍薬は多年草、牡丹は落葉小低木。最も違いがわかるのが、葉の形といわれており、牡丹は葉にツヤがなく、大きく広がり、また、先が3つに分かれてギザギザになっている。一方、芍薬の葉はツヤがあり、葉の先にギザギザはなし。なお、芍薬はバラのような甘く爽やかな香りを発するため、香りで見分けることもできるとか‥。

芍薬と牡丹の基本情報

 

芍薬 牡丹
学名 Paeonia lactiflora Paeonia suffruticosa
科・属 ボタン科ボタン属 ボタン科ボタン属
原産 アジア大陸北東部 中国西北部
性質 多年草 落葉小低木
別名 「花王」「百花王」「花神」「鎧草」
「二十日草」
「花相」
花期 初夏(5 – 6月) 晩春(4 – 5月)
花言葉 「はじらい」「慎ましさ」 「王者の風格」

白居易(白樂天)の「牡丹芳」

牡丹(ボタン)は中国原産の花であり、すでに唐時代には鑑賞用として盛んに栽培されるとともに、中国文学では、詩歌に盛んに謳われるようになった。

白居易(白樂天)(772-846)の「牡丹芳」:「花開花落二十日、一城之人皆若狂」(花開き花落つ二十日、一城の人皆狂ふが若し)とあるように、長安の都人は熱狂したようです。「長恨歌」でも楊貴妃を牡丹・梨花・柳に例えています。

 

 

葛飾北斎「牡丹に蝶」

Title:牡丹に蝶 Peonies and Butterfly
Artist:葛飾北斎 Katsushika Hokusai

牡丹に蝶は付きものである。おそらく中国の伝統的な寓意画である富貴耄耋に端を発するのであろう。それは、牡丹の花に猫と蝶を配する図様である。

牡丹の名所

名所 内容
福島県須賀川市 市の花。市内にある須賀川牡丹園は18世紀明和年間に摂津国(現・兵庫県宝塚市)から持ち帰った牡丹を栽培したのが始まりとされており、現在は国の名勝に指定されている。
新潟県五泉市 市内の東公園に牡丹園が併設され、120品種5,000株が栽培されている。また開花時期に合わせ、牡丹祭り(花木祭り)が開催される(5月上旬頃 〜 中旬)なお同市は、全国の二大牡丹産地の一つでもある。
長谷寺
(奈良県桜井市)
登廊・東参道・本坊前に150種7,000株が植えられ、花の御寺と呼ばれている。
島根県 県花。島根県大根島、赤名観光ぼたん園、御嶽ぼたん園などが牡丹の名所として知られている。
島根県松江市八束町 町の花。同町の牡丹は300年前に遠州(静岡県)の秋葉山から同町の全隆寺の住職がもともと薬用として持ち帰られたものと伝えられている。

 

いずれアヤメかカキツバタ、ショウブの違いについて‥

「いずれ菖蒲か杜若(いずれアヤメかカキツバタ)」

(菖蒲も杜若も同じアヤメ科の花である) 鵺(ぬえ)を退治した源頼政が、褒美として菖蒲前(あやめのまえ)という美女を宮中から賜(たまわ)ろうとしたとき、12人の美人のなかから目指す菖蒲前を選び出してみよと命ぜられ、「五月雨(さみだれ)に沢辺(さはべ)の真薦(まこも)水越えていづれ菖蒲(あやめ)と引きぞ煩(わづら)ふ」(太平記 巻21)と詠(よ)んだという伝承から、いずれが優れているか選択に迷うことをいう慣用句です。

菖蒲(あやめ)も杜若(かきつばた)も同じアヤメ科の花ですが、そのぐらい見分けがつかず似ていて優劣がつけ難いということです。

あやめわく明り障子のみどり哉 其角
やさしくもあやめ咲きけり木曽の山 正岡子規
古家に六日の菖蒲匂ひけり 正岡子規

紫の蛛もありけりかきつばた 其角
かきつばた畳へ水はこぼれても 其角
杜若咲くや五月の濁り水 正岡子規

 

 

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花(たてばしゃくやくすわればぼたんあるくすがたはゆりのはな)とは、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉。

 

芍薬
(しゃくやく)
芍薬といえば数え切れないほどの品種が存在しますが、その中で切花産地で使われている花茎が伸びるタイプで、丈夫なので毎年楽します。

牡丹と芍薬はよく似ているお花ですが芍薬は宿根草なので冬期は地上部が枯れて越冬。ボタンは木なので落葉しますが地上部に枝がシッカリと残ります。
■耐寒性宿根草
■開花期:5~6月
■草丈:60~80cm

牡丹
(ぼたん)
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花という言葉のとおり牡丹は落葉低木で比較的横向きに花をつけるので座って鑑賞するのが風流です。
芍薬は宿根草なので冬に地上部は枯れますが牡丹は木の状態で越冬します。中国では「花の王」と称され非常に愛されている花です。
■落葉低木
■開花期:5~6月
■樹高:1~1.5m
百合
(ゆり)
ユリは花姿や草姿、開花期などがさまざまで、多くの園芸品種があります。減少したとはいえ、日本には、ヤマユリやササユリ、テッポウユリなどが野山に自生しており、古くから愛されてきました。庭植え、鉢植え、切り花に加え、ゆり根を食用にするなど、さまざまな楽しみ方があります。
■多年草
■開花期:5月下旬~6月上旬
■樹高:50~200cm

 

目には青葉 山ほととぎす 初鰹 山口素堂

山口素堂(1642~1716)は、江戸中期の俳人・山口素堂(1642~1716)の作。
江戸の人々が、春から夏にかけ、最も好んだ、「青葉」「ほととぎす」「初鰹」を俳句に詠んでいる。

この句が一躍有名となり、江戸っ子の間では、初夏に出回る「初鰹」を食べるのが粋の証になったともいうが、この俳句、実は俳句作法の点からいうと、二つ以上の季語が入る「季がさね」と問題の句でもある(季語の三段重ね)。

宝井其角(1661~1707)とはほぼ同世代であるが、其角より早く生まれ、長生きもしている。

まとめと関連情報

芍薬も牡丹もボタン科ボタン属であるが、芍薬は多年草、牡丹は落葉小低木。最も違いがわかるのが、葉の形といわれており、牡丹は葉にツヤがなく、大きく広がり、また、先が3つに分かれてギザギザになっている。一方、芍薬の葉はツヤがあり、葉の先にギザギザはなし。なお、芍薬はバラのような甘く爽やかな香りを発するため、香りで見分けることもできるとか‥。


芍薬(しゃくやく)と牡丹(ぼたん)の違い・見分け方‥
いずれアヤメかカキツバタ、ショウブの違いについて‥
悲と魂でゆくきさんじや夏の原‥北斎(辞世の句)

 

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