春宵一刻直千金(蘇軾『春夜』)

春宵一刻直千金(蘇軾『春夜』)

『春夜』(しゅんや)は、北宋の詩人・蘇軾(そしょく)が詠んだ七言絶句。起句の「春宵一刻直千金」は名句として有名で、成語「一刻千金」の元にもなっている。

春宵一刻直千金 花有清香月有陰
歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈

しゅんしょういっこく あたいせんきん
はなにせいこうあり つきにかげあり
かかん ろうだい こえ さいさい
しゅうせん いんらく よる ちんちん

春のよいのひとときは、千金の価値がある。
花はすがすがしい香りにつつまれ、月はおぼろにかげって光もやわらか。
にぎやかな歌や管弦の音が響いていた高殿も、すっかり騒ぎがしずまって、
ぶらんこのある中庭に、夜が静かにふけてゆく

春の花見や月見にかこつけた宴の華やぎよりは、むしろ宴が果てた月夜の庭の閑雅に風情を見出す風流人の心持ちを詠んでいる。

春の夜はほんの僅かな時間でも千金の価値があるという起句は、時間という無形なものを金銭という即物的な価値に置き換える機知が妙味となっている。

蘇 軾(そ しょく)とは

景祐3年12月19日〈1037年1月8日〉 – 建中靖国元年7月28日〈1101年8月24日〉中国北宋の政治家、文豪、書家、画家。政治家としての活躍の他、宋代随一の文豪として多分野で業績を残した。文学以外では、書家、画家として優れ、音楽にも通じた。

蘇軾は北宋代最高の詩人とされ、その詩は『蘇東坡全集』や注釈が充実している『蘇軾全集校注』に纏められている。書家としても著名で、米芾・黄庭堅・蔡襄とともに宋の四大家と称される。

蘇軾「柳緑花紅真面目」

「柳は緑 花は紅(くれない)」とは、 1 自然のままであること。2 春の美しい景色を形容する言葉。3 ものにはそれぞれ個性が備わっていることのたとえ。

まとめと関連情報

 

春宵一刻直千金(蘇軾『春夜』)
夏の月蚊を疵(きず)にして五百両 其角

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